口を開けば愚痴ばかりの人
常に怒っている人と似ているが、愚痴ばかりこぼす人もまた生きにくい人だと思う。
これは私の実の母親のことだ。
今はそうでもなくなったが、以前祖父が生きていて、その介護に当たっていた頃、愚痴はこぼすものではなく永遠と垂れ流されるものだった。母は祖父とは離れて暮らしている為、介護に来るのは月一度位の頻度、滞在日数は長くて一週間位のものだったと思う。
主に愚痴の対象は、祖父と暮らしている実家のお嫁さんに対してだ。母は祖父に対して愛情があるから、祖父に対する介護に不満が出るのも無理からぬことだとは思う。
そう思い、初めの頃は、真面目に聞いていた。しかし、私がおとなしく聞けば聞く程、賛同者を得たとばかりに母の不満は増大していく。
「直接言ったらどうなの?」
私に愚痴をこぼしても事態が改善されるわけではない
母もどうしても我慢できないことは言っていたらしいが、とにかく不満が多すぎる。自分では建設的なことを言っていると思っているので、そしてそれが通らないことが母には理解できないらしいのだ。世の中には色んな人がいて、色々な価値観があるということがわからない。
それは祖父のことだけにとどまらない。
所詮、弟夫婦の家のことだ。自分の家の家族のことさえままならないのに、小姑の言う事がそうそう通るはずもない。
母とは離れて暮らしているが、うちのことにまで口を出してくる。母の名誉の為に言っておくが、母はくるくるとよく働く働き者だ。だが、皆が母のようにできるわけではないし、勤めていたりするのだ。優先順位は、家の些末なことより会社にあったりする。
自分の思う通りにならないことにいつもストレスを感じて、それがまた愚痴になって吐き出される。
一時期、口を開けば、愚痴か小言か文句にだけになった頃があり、冷たいようだが、母が訪ねてくるのが苦痛でしかなかった。母の愚痴を聞いてやれないことに対する罪悪感も合わさって、余計に息苦しくなる。私は母の愚痴を入れる便器じゃない。
昔から小言の多い人で、思ったことを考えなしに口に出してしまう性格だ。悪気はないから裏表のない性格と言えるが、悪気がなければ何を言っても許されるわけでもない。
結局、母は月に一度訪ねる娘でしかなく、実際家で祖父を見ているのはお嫁さんだ。
「今更、変わらないよ。ずっとそれでやってきてるんだから」
お嫁さんのことをそんな風に言っても、母は自分の信じる道の為に戦い続ける。
人は自分が思う通りになんか動いてはくれない。このことに気づくだけで、ストレスは随分軽減されるだろうに。
祖父が亡くなり、小言は相変わらずだが、愚痴は各段にトーンダウンして、私は一息つけるようになった。母とはもっと楽しいことを話せればいいと、いつも思う。
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