自分を責め続ける人
以前の同僚に自分を責め続ける人がいた。
彼女も私とは違った意味で生きにくい人だと思う。「私がきちんとしていれば…」が口癖だったように記憶している。彼女は仕事ぶりもきちんとしていて、優しく気遣いのできる人だった。彼女は自分ではどうにもならないところにまで必要以上に責任を感じ、それを気に病んでいるのだった。
「あなたのせいじゃないよ」、「自分を責めることないよ」と私はいつも言っていたが、多分彼女には通じていなかったと思う。 家族に厳しい人がいるということは聞いていた。 多分その人は、ことある毎に「お前のせいでこうなった」、「お前がきちんとしていないせいだ」と幼い彼女に言い続けたんじゃないかと思う。
そのせいで、自尊心を育てることができずに大人になった彼女は、幼い自分を引きずって、自分が悪いからという前提を持ち続けていたのだと思う。大人なってからもその呪縛から解かれることはなかった。
そして会社という組織の中には、優しい人、言いやすい人、言い返せない人に、ストレスのはけ口を向ける人が往々にしている場合がある。優しさに漬け込む人達だ。彼女はよくターゲットにされていた。
私も言い返すことができない人間なのでよくわかるのだけど、絶対逆らわない人に対して、人はひどく残酷になることができる。彼女がどんなにその人達に気を遣っても、その人達は彼女に気を遣うことはない。見下している人間に気を遣う必要なんかないからだ。 彼女はみんなと仲良くすのが美徳と思っていたと思う。他人との関係が悪化しないよう神経をすり減らす姿は痛々しい。
自分を責め続ける人は、常に自分に対してダメの烙印を押し続けている人だと思う。他人がいうことならば反論もできるけど、自分の心の声は絶対だ。そういう生き方はさぞ生きづらいだろうと思う。
私も彼女と同じような傾向はあるけれど、周囲がそこまでひどくなかったので、彼女よりは楽だったと思う。もう彼女にはしばらく会っていない。
彼女が呪縛から解放されて、自分を赦してあげていればいいと心から思っている。