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コミュ障の人間が泊まりに来る友人を断ったこと
学生時代の友人が家に泊まりに来るのが苦痛になっているという記事(泊まりに来る友人を断りたい)を書いた。
断りきれずに泊めることになったのだが、正直一緒にいても以前のように楽しめない。
遊ぶ分にはいいのだが、正直気を遣うので、泊まるのも泊まられるのも好きじゃない。
その友達からまた遊びに行きたいという話があって、その顛末について書いてみようと思う。
彼女は少し離れたところに住んでいて、遊びに来るのにもお金がかかるのだから、泊めるのも仕方ないよね、と自分自身に言い聞かせていたように思う。
友達なんだから、自分にできる最高のことをしなくてはならないという思い込みがあった。
細かいことに頓着せずに「いいよ。いつでも泊まりなよ」と言える女性は、余裕があって理想的だと思う。
でもそれは「私」じゃないんだ。
彼女は何度かうちに泊まりに来ているが、私は一度も彼女の家に泊まったことがない。
泊めてと言えば泊めてくれるのかもしれないが、彼女には家族がいるし、余計な気を遣うのが嫌なので、遊びに行くときは日帰りかホテルに泊まることにしている。
一度も泊まったことがないのだから、泊まったり泊まられたりすることが好きじゃないんだと察してほしいが、はっきりと口に出したことはないし、家に泊まるのを許容していたのは他ならない自分なので、それは勝手な言い分というものだろう。
前は泊まられるのもそれほど嫌ではなかったが、年々ダメになっている気がする。
うちにも家族がいるし、いつでもウェルカムというほどオープンな感じではないので、毎回家族にお伺いを立てて調整するのも疲れてしまう。
彼女はもう何度もうちに泊まりに来ているから、いつでもうちはオープンなんだろうと思っているんだと思う。
とりあえず自分が我慢すればと思ってきたけれど、何か違うんじゃないの?感は、一層鮮明になった。
私ガアナタを泊メルノハ、当タリ前ノコトジャナイヨ。
昔からの友達だから、数少ない友達だから、前に色々よくしてもらったから…、そういう事実を考慮しても、一方が我慢を重ねる関係は不自然に思える。
彼女から泊まりたいと連絡があって、泊まって帰るまで、ずっとモヤモヤした気持ちを抱えてしまうのが嫌だ。
私は彼女が嫌いなわけではない。でも、嫌いになりそうで怖い。
言いたいことを言わずに、陰で色々思うことはフェアじゃないだろう。
ネットで検索すると、親戚が来るから、用事があるからと言って断ればという意見も書かれているが、その日が無理と言っても、じゃ別の日に、となるだけのように思う。
理由がもっともらしければもっともらしいほど、相手は泊まってほしくないという真意に気づくことはないんじゃないだろうか。
土台、いい人ぶって、理由をつけて断ろうとするのが無理なのだ。
彼女が期待する答えと違うことを言わなくてはならないのだから、どうしたってリスクは伴う。
「今、ちょっとごたついているので、泊めるのは無理だけど、遊びに来るなら歓迎するよ」
思い切って言ってみた。ずっと嫌われたくなくて言えなかった言葉だ。
でももうこんな小さな悩みを抱え込みたくないんだ。言いたことを言って、このことにこだわらないで、後はもっと前向きなことを考えたい。
何故泊めるのがダメかなんて、はっきり理由を言う必要もないと思った。
物理的な家の事情なのか、家族の意向なのか、それとも私の考えなのか、そういうことも曖昧にしておけばいい。
「何かあった?」と聞かれたら「ちょっと…」と言葉を濁すか、「落ち着いたら話すね」と答えればいい。
友達甲斐がないと思われたかもしれない。
だけど、ないそではふれない。善人ぶって、自分の許容範囲以上のことをしようとしても、無理が来る。
できる範囲の歓迎をすればいい。それが気に入らないのなら、所詮それまでの関係だ。
私は彼女との友達を続けたいけれど、それは私の希望で、彼女に押し付けることはできない。
長いことモヤモヤを抱え込んでいたのだが、何故か今回はそんな風に思い切ることができた。
多分、泊まりにきたいという別の友達にノーと言えたことが大きいんじゃないかと思う。
その友達とも長い付き合いなのだが、かなり離れた地域に住んでいたため、疎遠な時期が長く続いていた。比較的近いところへ引っ越してきて、関係が復活して一度家に泊めたことがある。
この子を仮にBとして、前述の彼女をAとすると、
Bがまた泊まりたいと言ったときに、「今は無理なんだ。ごめん」と断ることができた。
泊まりに来る人が二人に増えるのはきつかったし、BとはA程親しい間柄じゃなかったので、ノーと言えたのだと思う。
この小さなノーに救われて、Aにもノーということができた。
もう我慢して受け入れるふり、度量の大きいふりをすることはないんじゃないか。
Aから「宿は自分で探すから大丈夫」という返事が来た。
ずっと言えないでいたけれど、言ってもよかったんだなと思った。コミュ障の人間はそんなことがわからない。