感情には愛と怖れしかない『愛とは、怖れを手ばなすこと』
<2017.11.25>
精神医学者のジェラルド・G・ジャンポルスキーの『愛とは、怖れを手ばなすこと』を読みました。
翻訳は、『ユダヤ人大富豪の教え』や『大好きなことをしてお金持ちになる』等の著作で有名な、本田健さん。
シンプルな言葉で書かれていますが、内容はとても深く、考えさせられるものです。
感情には、愛と怖れしかなく、どちらを選択するかはいつも私たちが選ぶことができると、ジャンポルスキーは言います。
本の前半部は、自己変容について、後半部は、人生のただ一つの目標を「内なるやすらぎ」において、ゆるしという行為を通して、やすらぎを得るレッスンについて書かれています。
ここでいうゆるしとは、過去の他者に対する歪んだものの見方を修正し、他者と自分を裁かないということです。裁くのをやめ、更に過去を未来に投影するのをやめ、今、この瞬間に生きることで、怖れは手放せるというのです。
私たちは常に他者を裁いています。無条件に受け入れようとはしないで、欠点を見つけ粗を探して批判し、そして、自分の正しさを正当化します。
レッスンの一つ、「今日私は、何が起こっても裁こうとしない today I will judge nothing that occurs.」で描かれているエピソードが、深く心に残りました。
あるとき、ジャンポルスキーの下を、一人の若者を突然訪ねてきます。
その日は、脳腫瘍の患者の対応や、重症の子供たちのイベントや来客など、いつにもまして忙しい日。ヒッチハイクで来たという若者は、服装もだらしなく、風呂にも何週間も入っていないような臭いがしています。
聞けばテレビでジャンポルスキーを見て、会いに行きなさいと導かれたように感じて、来たというのです。疲れ切っていたジャンポルスキーは、会ってほしいという若者を頼みを、要求であり、攻撃のように感じ、批判的に受け止めます。
翌日その若者と話をしても、彼自身が何をしたいのかよくわかりません。
ジャンポルスキーは答えがわかるかもしれないからと、一緒に瞑想をすることを提案します。
二人で瞑想をしていると、内なる声がはっきりと聞こえました。
この男性は、あなたへの贈り物として、はるばるここまでやってきたのです。 あなたの目の中に、完全な愛を見ましたと告げるために。 それはあなたが自分の中にまだ見いだせていないものです。 あなたから彼への贈りものは、彼のすべてを受け入れるという気持ちを示すことです。 それは彼が今までの人生で一度も受け取ったものがないものなのです。
『愛とは、怖れを手ばなすこと』(ジェラルド・G・ジャンポルスキー著)より
ジャンポルスキーは若者にそれを伝え、互いに抱き合います。二人の頬を涙が伝い、同じやすらぎと愛を経験したのでした。
このエピソードは、「他人を無条件に受け入れ、相手を変えようと望まないことを学んだとき、私たちは同時に、自分自身を受け入れることを学ぶ」ということを教えてくれます。
全ての人をジャッジせず、無条件に愛することはひどく難しいようにも思えますが、裁こうとしない努力するするだけでもいいと書かれていて、ほっとさせられます。完全ではない自分を裁かなくてもいいのです。
私たちは一つの自我として互いに繋がっています。本書の中を流れるワンネスの考え方に、深く癒される私がいました。
「私が与えるものは、全て私に与えられているもの、与えるとは受け取ること」この言葉を胸に刻み、怖れではなく愛を選び取っていきたいと思いました。
ここには書ききれなかった深い愛と英知の詰まった本です。怖れを手放してやすらぎの世界を生きたいという方にお薦めします。