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「信頼を失うのは一瞬」と言うけれど、本当に一瞬なのか
<2017.6.21>
ほんの小さなことがきっかけになって、それまで培ってきた信頼が一緒にして失われることがある。一度信頼関係が崩れてしまうと、一緒にいることがひどく難しいことになってしまう。信頼関係が失われた結果、関係を切られたこともあるし、逆に関係を切ったこともある。
「信用を失うのは一瞬、取り戻すのは一生」 そんなふうに言われるけれど、本当に信頼を失うのは一瞬なのだろうか。
有名なビジネス思想家のスティーブン・コヴィー の『7つの習慣』の中に信頼口座という考え方がある。信頼関係を銀行口座の残高に例えて、信頼が銀行口座のように増減するのだという。
相手をお気遣い、約束を守り、誠実で思いやりのある対応すれば、信頼残高は増えていく。それまで培った信頼関係があれば、多少の失敗は問題ならない。次回また、信頼の預け入れができる行為をすればいい。けれど、非礼で不誠実な態度を繰り返していれば、信頼残高はどんどん引き出されていく。
信頼残高が限りなくゼロに近づいたとき、小さな失敗は致命傷になる。
その瞬間、プラスの残高はマイナスに転じる。好きは、嫌いに変わる。相手の我慢が限界を越えたのだ。
信頼残高がマイナスにカウントされた側は、信頼が一瞬で失われたように感じるけれど、それは一瞬ではない。分水嶺を越えるのは一瞬でも、実はそこに至るまでに、信頼残高が目減りするような行為が何度も繰り返されていた。ただそれに気付かなかっただけだ。
以前、仲の良い友人から、関係を断たれたことがあった。 (「友達をなくしたこと」「友達をなくしたこと-2」)
そのときは自分の発した小さな一言が原因となって、 距離を置かれたように感じた。
「どうしてそんな小さなことで、今までの関係をなかったことにするの?」と、ささいな一言を許せない友人を恨みに思ったりした。
だけど今、あのときのことを思い返してみると、多分あれはその一言が原因ではなくて、私が信頼残高を減らす行為を繰り返していたことが原因だったと思う。
彼女は優しい人だったから、これくらいのことは許してくれるだろうと甘えていた。仲がいいと思っていたけれど、彼女が大切に思っていることを大切にしたり、彼女のことを心から理解しようとしていただろうか。 優しい彼女があれだけ怒った以上、たぶんできていなかったのだろう。
コヴィは、あやまちは心から謝ることだという。確かに心の底から謝ることで、信頼預金をプラスに変えて、関係を取り戻せることがあるかもしれない。
でも人間関係は一方が無理と思えば続けることができない。
私と友達の仲は、修復することができなかった。
関係が長くなると、そばにいることが当たり前になって、大切に扱ったり感謝する気持ちを忘れてしまうことがある。
大切にしたい人がいるのなら、信頼預金の預入がたっぷりできるよう、 誠実な態度で接することが大事なのだと思う。