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心理カウンセラーの根本裕幸さん『心の地雷を踏まないコツ・踏んだときのコツ』感想
<2018.1.20>
心理カウンセラーの根本裕幸さんの『心の地雷を踏まないコツ・踏んだときのコツ』(日本実業出版社)を読んだ。
キャッチコピーには、「人間関係がスーッっとラクになる」、帯には、「予約の取れない心理カウンセラーが教えるコミュニケーションの不安や怖れが軽くなり、人づき合いが楽しくなる秘訣」と書かれてある。
職場にも、また、それを構成する個人個人にも見えないルールが無数にある光景は、まるで一見、普通の平原なのに、そこかしこに地雷が埋められている戦地を歩くようなものなのです。安全だと思って一歩踏み出した先に予想外の地雷があって、相手を怒らせてしまったり、関係をギクシャクさせてしまったりするのです。
人間関係にはこの地雷が付きまとう。なるべくその場に相応しい行動をしようとするけれど、人との距離感がわからなかったり、対人面に怖れを抱えていたりすると、どうしてもこの地雷を踏んでしまう。
本書では、地雷を踏みやすい性格やシーン、その地雷の種類や対処法について、26の事例を使って紹介している。
私が気になったのは、第2章「心の地雷を踏みやすい人がやりがちなこと」で紹介されている「マイペース≒空気が読めない人」のページだ。
そこで紹介されている人物は、上司から飛行機に乗らなくてはいけないから、データを午前中のうちに取りまとめるよう指示されるが、この人物は、上司が見やすいようデザインやレイアウトにこだわって、いつも通りに丁寧に作業してしまう。それに対して、急いでデータを仕上げてほしかった上司は、「見た目なんかどうだっていい」と怒り出すというものだ。
ここで紹介されている事例は極端だとしても、私も空気の読めない人間なので、これと同じようなことはついやってしまっている。
特に職場では、チームとして動くことが多いので、自分の個性やこだわりを発揮することは大事だが、あまりにマイペースに仕事を進めてしまうと、仕事全体の流れを阻害し、結果周囲の人を怒らせてしまい、「空気の読めない人」という烙印を押されてしまうのだ。
その空気の読めない奴というレッテルを貼られるのが怖くて、過剰に空気を読もうとしていた時期があった。委縮して神経をすり減らし、疲れ切ってうつ病のようになって、仕事をやめるしかないと思うようになった。
空気を読むこととマイペースに仕事進めることのバランスを取ることは、難しい。周りの目が気になるときは、自分の気持ちより周りに意識が向かっている状態、一方、空気が読めずマイペースになっているときは、自分のことしか見えていない状態で相手のことは見えていないのだと、根本カウンセラーは言う。
この両者の共通点は「相手」か「自分」のどちらか一方しか見えていない
自分の考えややり方も大事にしつつ、相手の立場を尊重する必要のあるビジネスの現場では「自分」「相手」「その両者を眺める客観的な自分」という三角形を頭の中でつくるとうまくいく
『心の地雷を踏まないコツ・踏んだときのコツ』(根本裕幸著・出版社: (日本実業出版社)
「客観的な自分」に意識を向けることで、自分のやり方や気持ちに目を向けつつ、「相手」の考えや求めていることにも意識を向けることができるようになるのだそうだ。
この事例でいうなら、もっと見やすいデータにこだわりたいけれど、上司の状況を考えて、今は要点だけをまとめようという視点が出てくる。
更に、「今、私に何が求められているか?」という「今」と「私」に意識を持つことで、気持ちに余裕が生まれ、周囲の状況もよく見られるようになるという。
この余裕というものがいかに大事かということは、日々痛感させられる。
私もそうだが、対人関係に不安や怖れを感じる人の多くは、余裕やリラックスすることができがない。だから、相手や相手の状況を見極めることができない。色々な性格の人や状況があるのに、いつも一本調子で、同じようなパターンで接してしまう。私の場合で言えば、地雷を踏みたくない気持ちだけが先行して、なるべく人と関わらないことを選択してしまうことが多い。
ただそれでは、人間関係が閉じられたものになってしまう。
人は誰でも自分なりのルールにのっとって生きているから、なるべく地雷を踏まないようにすることはできても、100%地雷を踏まないようにすることはできない。誰かにとっては地雷じゃなくても、でもそうでない人にとっては地雷なこともあるからだ。
ただ、この余裕があれば、このことが相手にとって地雷かどうか見極めやすくはなると思う。また踏んで相手を怒らせてしまった場合でも、取り返しはつく、大丈夫と前向きに考えることができる。
また本書では、地雷を踏まないコツだけではなく、踏んだとき、相手を怒らせたときにどうするかという点についても書かれている。相手をイライラさせてしまうことが多い人、怒らせてしまって動揺して更に事態を悪化させてしまう人などは、読んでみても損はない本だと思う。