- ホーム
- 仕事・転職・起業のこと
- 私にはフリーランスは無理だった
私にはフリーランスは無理だった
<2024.3.27>
数年前、フリーランスのwebデザイナーとかグラフィックデザインナーに憧れた時期があった。
スピリチュアルに傾倒していた頃の話だ。通っていたスピリチュアル講座の中にも、分野は色々だったが、起業やフリーランスを目指して活動している人たちが一定数いた。
私は、人に囲まれて仕事をしたり、自分のペースで仕事ができなかったすると、疲弊する種類の人間だ。動揺しやすく、刺激の多い場所が苦手。
HSP(Highly Sensitive Person)だと思う。会社勤めが苦しくて、そこから逃げたかった。フリーランスになれば、面倒な、人との関わりから楽になれるんじゃないかと思っていた。
勤務先でデザインを手掛けていて、デザインが好きなことも、目指す理由になった。
デザインをやっているといっても、インハウスデザイナーといった立派なものではない。
業務の傍ら、たまに看板やチラシのデザインをして、素人のごく簡単なサイトの制作と更新をしていただけだ。私にとってはそう簡単ではなかったけれど。
スクールに行って教えてもらえれば、懸命に勉強すれば、フリーランスになれるような気がしていた。
実際、それを煽る広告も多い。
「あなたも在宅で月給〇〇万」「隙間時間に、高収入」「未経験からフリーランスを目指す」「在宅でできる自由な働き方」…会社勤めに疲弊している人が、思わず引き込まれるようなキャッチコピーが並ぶ。
でもそんなに甘いわけがない。ちょっと考えればわかるけど、実務経験がない、もしくは浅いフリーランスに、あえて頼もうとする人はいない。
スクールで学んでも、Web技術は一朝一夕では身に付かない。ましてや0を1にしていくデザイン能力は、正解があるわけじゃないから、更に人を選ぶだろう。
「未経験から誰もが」なんて、あり得ない。
私は手が遅いから、会社を辞めていたらすぐに行き詰っていただろう。フリーランスという働き方は、労働基準法に守られていない。早く成果物を仕上げなければ、限りなく時給が落ちていく世界だ。
そして何より、人と関わらなくて済む働き方では決してない。
一番肝心なのは集客で、人脈や営業力がなければ、継続的に仕事を確保するのは難しいだろう。 圧倒的なスキルや知名度があれば、また話は別だろうけど。
仕事が取れれば、ヒアリング、予算や納期を折衝し、デザイン案をプレゼン。フィードバックをもらって、デザインの実装。バグや問題を修正し、最終的な成果物を納品。 いくつものやりとりが発生する。全部一人でやらなくてはいけない。
それ以外にも、見積書、請求書、契約書の発行、最低限の経理、事務処理。仕事全般に関する知識が必要になってくる。個人事業主だから、経営は必須。料金の交渉だってしなくてはならない。外注すれば、誰かにやってもらえることもあるけれど、それにはお金がかかる。
担当外のことはやらなくもいい会社員の方が、圧倒的に仕事の範囲は狭い。
そういう意味でも、HSPとフリーランスの親和性はあんがい低いんじゃないだろうか。
人に関わらなくて済むからという理由で会社を辞めてしまうと、こんなはずじゃなかったのにと、後悔するかもしれない。
一度制作会社なんかに就職して、ある程度経験やスキルを積んだからこそ、視野に入ってくる働き方なのだと思う。
スクールやセミナー、教材の宣伝では、あたかも在宅で自由に稼げる職業みたいな印象を抱かせるれど、実態からは離れている。
彼らが儲けるための方便だろう。
中には成功する人もいるかもしれないが、相当なレアケースに思える。頑張っても、副収入が得られるくらいの域ではないのか。
それを本業にできる人がどれだけいるのか。
少なくても私には無理だったなと思う。
昔のことを思い出して、そんなことを考えた。