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初めてのメンタルヘルスクリニック
もう会社を辞めるしかないかもしれないと思ったとき、カウンセリング、精神科、メンタルヘルスクリニックというものが頭に浮かんだ。
会社を辞めて、一時的に休んでも家族の収入だけでは生活できない以上、またどこかの会社で働かなくてはならない。それなら一から新しいことを覚え、人間関係を構築するより少しでも慣れた今の会社の方が楽だろう。
以前の経験から心療内科での治療は難しいと思えた(詳しくは「内科に心療内科が併設されているクリニックへ行く」参照)ので、カウンセリングでどこか通えそうなところをネットで検索してみる。
薬を飲みたくない、薬なんか本当に効くのかという気持ちがそこにはあった。
けれど、地方都市のせいかカウンセリングで通えそうなところはなかなか見つからない。
カウンセリングをあきらめて、精神科、メンタルヘルスクリニックで通えそうなところをネットで検索してみる。何件かヒットするが、場所とか診察時間とか最低限のことしか書いていない病院が多く、先生の考え自体がわからない。
行くことに決めたところは、沢山ではないけれど、先生のコラムがいくつか書いてあって、多少なりとも先生の考え方が見えるクリニックだ。
診療科目は、精神科、神経科、心療内科となっている。ただでさえ精神科は敷居が高い。威圧的な先生のところには行きたくないと思っていたので、先生の考え方の方向性がわかるようにしておいてほしいと思う。
意を決してクリニックの扉を開く。
「予約はありますか」
受付で聞かれたのはこの言葉だった。
予約のことはウェブサイトには載っていなかったので、普通に診て貰えるものと思ってやってきたのだった。診て貰えないとなると肩透かしを食らったような気持ちになる。
先生は、私がどれくらいの症状なのかを事前に知りたかったのだと思う。暴れたり、症状が重い人は、予約制か診ていないのかもしれない。
ここのクリニックに通って2年以上経つが、ぶつぶつ独り言を唱えたり、暴れたり、付き添われて来院したりしている人を見たことがない。
平日の会社帰りに行ったのだが、「土曜日にもう一度来てください」と言われ、土曜日の予約を取って帰ろうとしていると、
「せっかくだから今日診て貰った方がいいですよね」と受付の方が言って下さり急遽、診て貰えることになった。
その日は患者数が少なかったことも幸いしたかもしれない。
診察室で診て貰っている人が一人いるだけで、待合室には私一人きりだった。
待合室の雰囲気は、街中の小さな内科病院と何ら変わりはない。絵が飾ってあったり雑誌がおいてあったり、メンタルヘルス系の雑誌もあったが、普通のファッション誌などもおいてあった。
思い切ってやってきて週末まで待たせられ、また気持ちを奮い立たせてやってくるのはかなり気が重いかったので、診てもらえることになり、ほっとしていた。