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薬を飲むようになった経緯…偽りの自分

非正規雇用だが働いている。
経済的に余裕があれば、多分働いていないと思う。
仕事が嫌なわけではない。雑用も多いが今の仕事内容は、気に入っているし自分に合っていると思う。
ただ、休みの日以外は当たり前のように毎日出勤して、常に人のいるところで仕事をするのは苦痛以外の何ものでもない。
自分が空気を読めないことを知っているから、何とか空気を読んで場の雰囲気について行こうとすると、ひどく消耗する。
年齢の割に社会経験が乏しく、上司が白と言ったら黒いものでも白くなるという、大人的な対応をするのも苦手だ。
何より仕事の話ならまだしも、日常会話や軽口などのたわいない話が上手くできない。それも仕事の一部だとは十分理解している。だからこそ、上手くやれない自分が許せない。ただ話すだけのことが、とてつもない緊張を伴うものになっていた。
病的だったと思う。
自分でも病的だと思っていたが、どうすることもできなかった。
以前は在宅で働いていた。
そのときは、一人の社長とほぼ電話でのやりとりだけだったので、そういう意味では楽だった。けれど、経済的にはかなり厳しく、結局その仕事はなくなってしまう。この話は「経済的に余裕のない人」に詳しく書いている。
今の会社に不満があるわけではない。細かいことを言えばキリがないが、何か所か働いた職場の中では働きやすい環境だと思う。人間関係もどなりちらす上司など極端な人がいないので、比較的良好だ。
けれど、そんな会社であっても、しんどいと感じてしまう。
毎日のように辞めたいと思いながら会社へ行っていた。
辞めたいという気持ちを偽って、食べるために働いていた。そうやって自分の気持ちをごまかしてばかりいると、自分の本心や意見は失われていく。私は意見を持たない、ただ周囲に迎合するだけの存在になっていた。多分もう何年も。
そしてその場での正解を何とか捜そうと努力する。その場で多分求められるであろう適切な受け答え。
素の自分では受け入れられないのではないかという恐怖感がある。
だからといって、私以外の何者かになれるわけではないので、なるべく当たり障りのないことだけを話すようになっていた。
一番辛かったのは、笑顔で話そうとするのだが、表情がこわばってしまう、顔がひきつる症状だった。
これを他の人に気づかれるのがたまらなく嫌だった。口先では当たり障りのないことを言っても、表情が会社を辞めたいという本心を如実に物語ってしまう。気づかれれば普通の人ではないという烙印を押されるだろう。
気づかれる前に会社を辞めたい…これが当時の偽らざる心境だった。
実際のところを言えば、顔の引きつりは現在も完治していない。
ただ薬を飲むことで、それが原因で会社を辞めたいとは思わなくなった。周囲に気づかれなければいいなとは思うが、会社を辞めるほどの大事ではなくなったのである。
周囲との緊張もある程度、緩和されたと思う。