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ペットが飼えなくなったら殺処分ではなく、せめて里親を見つけてほしい

以前自宅で仕事をしていた頃、仕事関係の人からうさぎを飼わないかと持ちかけられたことがあった。
その頃ハムスターを飼っていたので、小動物好きなら飼ってくれると思ったのかもしれなかった。
「うさぎって?」
「うん。うちで飼い始めたの知ってるでしょ? 可愛いよ」
うさぎを飼い始めたことはその人本人が話してくれていたので知っていた。
プリンセス風の名前を付けて可愛がっていたのに、何かあったのだろうか。
「えっ、最近飼い始めたうさちゃんですよね?」
「うん。今まで生き物なんて飼えないと思っていたけど、いざ飼ってみると結構ちゃんと飼えることに気づいてね、自信がついたというか。これなら犬も飼えるんじゃないかと思って。本当にほしかったのは犬なんだよね」
「じゃ一緒に飼えばいいんじゃないですか?」
「いや。うさぎと犬はケンカしちゃうし一緒には飼えないでしょ」
驚いた。驚いたというより驚愕した。
ペットを飼ったら家族のように一緒に暮らして、最後まで看取るものだと思っていた。
可愛がっているようだったしそれは嘘ではないと思うが、犬が飼えそうだから手放すというのなら、ずいぶん薄っぺらな可愛い、だ。
まるで取り換えのきく玩具をほしがる子供のようだ。いや、ペットを愛している子供ならきっとそんなことはしない。
100歩譲って、家族にアレルギーが出たとか家族の誰かが倒れたとか、自分自身が重い病気にかかったというような差し迫った理由なら、まだ納得できる。
でもそうではない。
もちろんうさぎにそんな事情はわからないだろうが、自分の存在が新たなペットを引き寄せたと知ったらどんなにやるせなく辛く思うだろう。
「どう? 大人しいし飼いやすいよ」
「ごめんなさい。今うちのハムスターの調子がよくなくて、他の動物は飼えない状況なので」
嘘ではなかった。
ハムスターの体調がよくなくて始終気にしていた。
ハムスターの寿命は短い。
2年目に入ると老後の心配をするようになる。病院には通っていたが、はっきりした原因はわからず様子見の状態だった。
朝、ウォーキングをしているとハムスターが死んでしまうことを想像して涙が零れてくる。
動物好きでない人からしたら、ハムスターごとに大げさと思われることだろうが、私にとっては小さくとも掛け替えのない存在だった。
一緒の空間で暮らしていることで沢山の癒しをもらっていた。
そんな状態だったので、他の動物を飼うなんてことは考えられなかった。まぁ本当にうさぎの貰い手がつかなければ引き受けたかもしれない。
断れば考え直してくれるかもしれないという期待もあった。
「わかった。じゃ他を当たってみるわ」
電話は切れた。
それからしばらくして、うさぎを農家に里子に出したこと、血統書付の仔犬を飼い始めて、すごく満足しているという報告があった。
食用とかではなく、動物好きの農家の人にペットとして引き取ってもらったらしい。
釈然としない気持ちは残ったが、殺処分ではなくペットとして迎えてもらったのだ。
里子に出されるのと殺処分されるのでは天と地ほども違う。
うさぎは、以前のケージよりはるかに広い場所でのびのびと暮らしているだろう。これでよかったのかもしれないという気持ちが湧いた。
環境省によれば平成25年度、殺処分された犬は28,570匹、猫は99,671匹、合計128,241匹。
平成24年度の161,847匹に比べると、3万匹以上減ってはいる。
犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況(環境省)
減っているとはいえ、毎年膨大な数の犬と猫が殺処分されている。
長年ずっと一緒に暮らしてきて、病気になったからと保健所に処分を申し出る飼い主がいることを見聞きすると、やりきれない気持ちになる。
どんな理由があろうともペットが飼えなくなったら、殺処分ではない方法を探してほしい。飼い主と離れても幸せに生きられる道を見つけてあげてほしい。
今は飼えないけれどいつかペットが飼える状況になったら、猫を一匹飼いたいと思っている。
そのときはペットショプからではなく保健所から譲渡してもらうつもりだ。生涯大切に可愛がろうと思う。
殺処分されるペットがゼロになることを祈っている。