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「病は気から」という言葉を他人に対して使う人
「病は気から」という言葉を他人に対して使う人に、違和感を覚える。
「常に怒っている人」で書いた、以前に働いていた営業所長の奥さんが、この言葉をよく使っていた。
自分を励ます意味で、自分に対して使う分には少しも気にはならない。
ただ、風邪をひいて具合が悪いときなどに「病は気から、だからね。それ、風邪じゃないから」と言われると、当人は励ましているつもりなのだと思うが、責められているようにしか受け止められなかった。気合が足りない、気の持ちようで風邪なんか治せると、暗に言われている気がするのだ。
それほど風邪を引く体質ではないが、ときには風邪を引いてしまうこともある。
奥さんは基本風邪を引かないし、体調不良もあまりなく健康な人だ。
他人にだけではなく、自分にも厳しい人なのだとは思う。
そんな言葉を言われたくらいで気に病むのは、面倒くさいことだと思うので、笑って「そうですよね」と同意するようにしているが、病気になりたくてなっているわけではないのに、つい思ってしまう。
病気をしない人は、病気の人の辛さはわからない。
精神論だけでどんな病気も治ると思っている傲慢さがそこにある。
花粉症で鼻をぐずつかせていても「気のせいじゃないの?」と言われる。アレルギー検査で、反応が出ているのだから、気のせいではない。
私の前に働いていた人は更年期障害で会社を辞めていたが、その人に対しても、「気の持ちよう。病気じゃないんだから。私は更年期なんかなかったわよ」と言っていて、気の毒に思うことがあった。
悪阻のひどいお嫁さんのことも「家事もろくにやらない。妊娠は病気じゃないのに」とこぼしていて、この人がお姑さんでなくてよかったと、正直思ったりもした。
更年期障害は明らかに病気だろうし、妊娠は身体に相当な負担がかかるものだ。
病気じゃないと平気で線を引ける考え方が相容れないと思ってしまう。
精神が体に与える影響は理解できる。
ポジティブ思考が免疫力を上げることも同意できる。
ただ、ひとつの価値観を押し付ける思いやりのなさ、想像力の欠如に違和感を覚える。
何より、具合のよいときならもっと素直に耳に入るのにと思ってしまう。
具合の悪いときに聞く「病は気から」は、症状を一気に悪化させるストレスの種、そのものだった。