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頑張っているように見えない人の、謙虚な頑張り方を見習う
先日、久しぶりに会社を辞めた同僚に会った。
一緒に働いているときはそれほど親しくはなく、彼女が会社を辞めて、お互いに会社のことを自由に話せるようになって、距離が縮まった感じだ。
会社の同僚と仲良くするのは時にはリスクを伴うことでもあるので、会社の愚痴系を同僚に話すときには、相手をよく見極めた方がいいと思っている。
そんな風に思っているので、会社の人とは一定の距離を置いている。
彼女ともプライベートでは会ったことがなかった。
まだ就職は決まっていないとのことだったが、一緒に働いていたときとは違って、溌剌とした印象を受けた。
漠然とした退職理由しか聞いていなかったので、「何故退職したの?」と聞くと、「あの会社だとやりたいことができないから」と彼女は答えた。
「やりたいことって?」
ある国家資格を一年かけて取ったことを教えてくれた。その資格を活かした職業に就くつもりと彼女は笑った。会社が終わるとスクールへ行き、寝る間も惜しんで勉強したらしい。
二人の子を持つシングルマザーの彼女が、影でそんなに努力していることを少しも気づいていなかった。
「家の中めちゃくちゃだよ」と言っていたが、普通にフルタイムで働き、学校帰りにスクールへ行き、宿題をこなしていれば、家事が手抜きになっても仕方のないことだろう。
「あのときは勉強したね。試験までに間に合いそうになかったから、覚えることを朝メモに書いて、それをポケットに入れておいて、会社のトイレでも読んで覚えたりもした」
彼女は少しもえらぶらない。
一月位ならどうにかやれるかもしれないが、一年もの長いスパンで継続して努力し資格を取得することが、いかに難しいことか、勉強が続かなくて挫折してきた自分にはよくわかる。
彼女は物静かで控えめな人で、そんな頑張りを人には見せない。
「私には、到底真似できそうにないな。」
「いや、みんなできるよ」
嫌味ではなく、さらっと答える。
頑張っている姿をことさらに周囲に見せつけることで、自分を鼓舞する人もいるが、彼女のように努力をしているところを見せずに陰で頑張る人は周囲の理解も得られないから、余計に大変だと思う。
年齢的なことを差し引いたとしても、誠実で真面目な人柄を買ってくれる会社はいくらもあるだろう。
彼女と一緒にもっと仕事をしたかったと、辞めた後に切実に思った。
今は学びの時と腹をくくって、将来を見据えて取り組んだ彼女と、流されるように漫然と、怠惰に日々を送る私。
彼女のように資格に向けての勉強はできないけれど、そのエッセンスだけは取り入れてみたいと素直に思う。