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どんなに努力を続けても離れていく人は引き止められない

どんなに努力を続けても離れていく人は引き止められない。
ただのケンカなら、話せば元通りになれるかもしれない。だけど、少しずつ心が離れて、そのきっかけとしてケンカがあるなら、引き止めるのは難しいと思う。
それが友人でも恋人でも。
普段優しい人が言う「さよなら」は、簡単には覆らない。
優しい人は、殆ど大抵のことを大目に見てくれる。今までも色んなことに寛容でいてくれた。けれど、告げられた別れは、大抵のことに含まれていない。
楽しかった頃を覚えているから、本当の気持ちを話せばわかってもらえる、許してもらえると思ってしまいがちだけど、そこには目に見えない壁が立ち塞がって、自分の言葉や行動は少しも相手に響かない。
わかってもらおうと試みる努力は大抵徒労に終わるだろう。相手はもう私のことが嫌いなのだから。
一度芽生えた嫌いという気持ちに種をまいて水をやったのは、私自身なのだ。嫌悪感は相手の中で大きく膨らんでしまった。
無駄な努力を重ねて重ねて、ある日やっと気づく。もう相手の気持ちが戻らないことに。
二人ではしゃいだ瞬間がどんなに幸せだったとしても、もうピークは過ぎて、後は少しずつ遠ざかるだけだ。
遠ざかって遠ざかって、限りなく他人になっていく。
相手の気持ちを変えようとすればする程、自分が傷ついて擦り減っていくだけだ。
必死の抵抗を続けていても、ますます嫌われるだけだ。相手は相手の人生から降りてもらうことしか、頭にないのだから。
もう無駄な努力はやめよう。
自分から離れたがってる人を解放してあげよう。
精一杯虚勢を張って、叫びだしたい気持ちに蓋をして、手を離してしまおう。
離れた相手が何を考えるかなんて、気にしなくていい。もう関係のない人だ。友達から、恋人から、ただの他人になったのだ。親しかった頃の約束も、もう消えてしまった。何の効力も持たない、ただの記憶。その約束にしがみついてこだわって、お守りのように心に抱いているのは、自分だけだったのだ。
今はまだ許すことができない。忘れることもできない。
思い出さない瞬間を一つずつ積み重ねていくしかないのだ。友達や恋人のいた場所に、別のピースを置き換えていく。
空虚なその場所に、どうせなら明るい色のピースを並べて行こう。
もう離れてしまった人のことを思い出して、そんなことを考えた。
まだ私の中には、小さくなったその人がいる。