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過去のいじめ…中学校の頃
前に小学校の頃のいじめの体験を書いたので、今度は中学の頃のいじめについて書こうと思う。
10年近く前に日本テレビ系列で放送されていた『女王の教室』というドラマをご存知だろうか。主演は天海祐希で、「この物語は悪魔のような鬼教師に小学6年の子供達が戦いを挑んだ一年間の記録」 とサブタイトルがついている。
ネタバレになるので、読みたくない人は読まないでほしい。
ドラマ序盤の阿久津真矢(天海祐希)は、恐怖政治同然の管理教育を実行する、まさにクラスを支配する女王。第一話は衝撃的で、志田未来演じる神田和美は、阿久津の長い説教に我慢しきれずおもらしをしてしまう程だ。ラストでは実際の阿久津真矢は、生徒のことを考えて鬼のように厳しい行動を取っていたことが明らかになって、大団円を迎える。
子供たちが小学生なので異なるところもあるが、私の中学2年のときの担任は、まさに『女王の教室』の阿久津真矢の初期の姿だった。気に入らないことがあると「こんなこともわからないあんた達に、付き合うくらい高い給料は貰っていない」と捨て台詞を残し、教室からいなくなる。しばらく呆然としている私たちも、これではラチがあかないのがわかっているので、クラス委員が職員室まで先生を呼びに行って、詫びて教室に戻ってもらう。そんなことが日常茶飯事だった。
担任は、恐怖政治で敷くことでクラスを支配していった。
お気に入りの生徒は露骨にひいきし、気に入らない生徒はクラス全員の前でヒステリックに個人攻撃を続けた。先生が率先して、生徒をいじめるという行為を、初めて目の当たりにした。
私も先生には嫌われていたから、個人攻撃を受けることもあったが、主にターゲットにされていたのは転校生してきた男の子だった。クラス全体も先生の顔色を伺い、その男の子を嫌っていくようになる。転校してきたばかりで、いじめられるあの子の気持ちはどんなものだったろう。あの子にどんな悪いところがあって、あんなに糾弾されていたのか、私にはわからない。
長々と行われるホームルームは裁きの場所だった。クラス全員が、今日の被告の悪い点を告発し、吊し上げを行う。吊し上げの対象にならないよう、皆戦々恐々としていた。楽しいはずの球技大会や文化祭、合唱コンクール等のイベントも、強いクラス、まとまりのよいクラスであることをアピールするために、放課後も延々と練習をさせられた。全ては担任を満足させる為に。
皆、恐怖政治の下で担任のミニチュアと化していく。顔つきが担任と同じように険しくなっていく。ドラマの子供たちは、阿久津に反旗を翻すが、クラスメイトは担任に洗脳されていった。
運動のできない私は、よくやり玉に挙げられた。
一度だけだったが、ひとり自分の部屋でクラスのことを考えているときに、クラスメイトに私の考えが筒抜けになっている、皆に頭の中を覗かれている感覚を覚えた。自分が少しずつ壊れているのを感じた。
顔面神経痛なのか、緊張すると顔が引きつる症状が出たのも、この中学2年のときからだ。
友達は過呼吸を発症した。よく倒れこんでは、紙袋を渡されて、苦しい息の中、吐いた空気を何度も吸い続けていた。当時はわからなかったが、過剰なストレスが原因だったのだろうと今ではわかる。
そのときの担任の顔は、苦しがる友達を心配するでもなく、やっかいものでも見るような目付きで、友達を眺めて、「この子はこういう子だから」と、周囲の先生にとりつくろっていたように思う。
当時のことは思い出したくないことが多すぎるからか、あまり細かいことを覚えてはいない。
何十年も前のことだが、この中学2年が、私の人生から消え去ってくれたら、もっと人とコミュニケーションのとりやすい人間になれたのではないかと思わずにはいられない。