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大人しい人は何を考えているかわからない
以前、web制作の下請の仕事をしていたときに、元請の社長が、あるクライアントを指して
「大人しい人って、心の中では何を考えているかわからないよね? 口うるさい人の方が、何を考えているかわかるから楽だ」
と、言ったことがある。
そのときは、よく考えもせずに、大人しい人の方が口うるさい人より対応が楽なような気がしたが、その後の経験(友達をなくしたこと)と照らし合わせると、実際そういう傾向はあるように思う。
口うるさいくらいの人は、不満や要望を溜めることなく言いたいことを口に出すので、言葉に裏がない。
けれど、口数が少ない人のイエスは、往々にしてノーである場合もある。
裏を読まなければ、真意がわからないことも多い。
私も多分、人からは大人しいと思われる人間だと思う。
御しやすい人だと思われ、そういう対応を受けることも多い。
自己表現が苦手だから無口でいるだけで、主張がないのかと言えばそんなことはない。それどころか人より頑固だったりする。
ただむやみに他人と衝突したくないから、自分の意見を言わないだけにすぎない。ことなかれ主義なのだ。
不満を溜め込み、ある日臨界点を超えてしまう。
表だって声を荒げたりはしないが、ある日突然会社に辞表を出すようなタイプだと思う。
そういう自分が好きではないが、それ以外の生き方がわからない。
知り合いの夫婦が離婚危機の渦中にある。
旦那さんは、奥さんが大人しいのをいいことにやりたい放題やってきた。
旦那さんとしては、これまではそれで許されてきたし、これからもそれでよいと思っていたと思う。
奥さんは従順で大人しいから、今回も強く出ればたやすく与することができるはずだった。
けれど、奥さんの離婚の意思は固い。大人しく溜め込んでしまう人のノーは、簡単には覆らない。
そんな奥さんのことを旦那さんは「何を考えているかわからない。今までだって許してきたのに」という。
奥さんは旦那さんを許していたのではなく、我慢をしていただけなのだ。
実際のところは当人同士にしかわからないことだが、聞く限り、関係修復はかなり難しいのではないかと思う。
奥さんのことをないがしろにしてきた旦那さんには反省すべきところがあると思うが、奥さんもないがしろに扱われるのは嫌だという意思表示をしていたのだろうか。
怒りが臨界点に達する前に、どこかで嫌だという気持ちを伝えていれば離婚は回避できたかもしれない。
離婚は、一概にいい悪いとは言えないものだけど。
社長の「大人しい人って、心の中では何を考えているかわからないよね?」という言葉を思い出しながら、あれはクライアントに重ねて、私自身に向けられていたのではないかと、ふと思ったりする。
下手なりにもコミュニケーションを取ろうとすべきだったのかもしれない。
今も尚、その課題は解決されていない。