- ホーム
- その他日々感じたこと
- コールセンターという仕事
コールセンターという仕事

耳からの情報を処理するのが苦手な私(「耳からの情報を処理するのが苦手な人が、働くということ」)だが、以前、少しだけコールセンターで働いたことがある。
聴覚認知が弱く、メンタルも弱く、口下手な私にとってはテレアポの仕事は辛いものだった。
話すのが苦手なのに、なぜコールセンターの仕事選んだのかと我ながら思うが、そのときはまだ自分をよく知らなかったのと、今よりは精神状態が安定していたこと、何より早く仕事を決めたい一心だったと思う。その職場は面接が緩くて、条件さえあえば、大抵受かると聞いた。求職活動の面接がもういやだった。
大事なことを安易に決めると後からそのツケが回ってくる。
個人を対象にある企業の商品を勧誘、販売する発信業務だった。
パソコンのリストを見ながら、一件一件電話を掛けてリストをつぶしていく。大抵そっけなく断られる。
話の途中でいきなりガチャンと切られたり、中にはセールスの電話にはどんな対応をしてもいいと思っている人もいて、そういう人に当たると相当きつかった。
理不尽に怒鳴られても、感情的になることは許されない。ネチネチと説教が続くのも苦痛だ。
人間ではないように扱われると、自分は粗末に扱われて当然のように感じられて自己肯定感が持てなくなっていく。
電話を掛け続けていると、確率の問題で厳しいお客さんに当たってしまう。
相手の都合も関係なく電話をかけるのだから、当然かもしれない。自分でも忙しいときに掛かってきたら迷惑に思う。ただコールセンターの仕事を経験してから、「この人も仕事で掛けているのだから」と思うようになり、話を聞けるときは聞くし、断るときも普通に淡々と接するようになった。
普通の人に対してするように、会話するようになった。前はもっと対応が横柄だったと思う。
攻撃的なお客さんに当たると、次に電話を掛けるのが怖くなる。
だからと言って、躊躇している暇はない。すぐ次の電話を掛けなくてはいけない。
会話は録音されていて後からチェックすることもできるので、それもストレスになっていた。
救いだったのは、契約を取ってもインセンティブ(報奨金)やボーナスといったものはなかったが、その分ノルマもないことだった。
残業も基本なかった。
営業の電話は話すことがだいたい決まっていて、自分のペースでかけられるものまだよかったと思う。
サポートセンターなどで、何が問題なのかを判断して解決まで持って行く仕事はさらに大変だと思う。
ノルマがないことを差し引いても、コールセンターの一日は果てしなく長い。
とても続けられなかったので、一年程でやめた。
見た目より厳しい仕事だと思うので、この仕事を長く続けている人には素直に感心してしまう。
言われたことを引きずってしまうタイプには向かない仕事だ。
嫌なことを言われてもあまり気にせず、気持ちを切り替えて、次に行ける人が向いている仕事だと思う。
人には向き不向きがある。自分に合わないことを嫌々やっても、結局は続かない。私と同じように、テレアポの仕事で苦しんでいる人がいるなら、転職も視野に入れてもいいのではないかと思う。
転職が可能なら、転職した方が余計なことで自分を責めなくて済む。可能ならわざわざ辛い人生を選ばなくていいと思う。