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見ているだけで癒される大天使ガブリエルの御姿


ルカ・ジョルダーノ(1634年-1705年)『受胎告知』

天使の絵が好きだ。

トップ画像にもセイヤーの描く天使の絵を使わせてもらっている。
キリスト教徒ではないし信仰もないが、翼の生えた優しく柔和な天使の姿を見ていると、気持ちが癒される。
本来の天使は厳格で怖い存在にもなり得るものだと思うけど、スピリチュアルの世界に住む、人のそばにいて、天と人とを繋ぐ存在としての「天の使い」に惹かれる。裁くものではなく、寄り添い見守ってくれる存在としての天使。

飾ったりするのも好きで、エンジェルのオブジェを集めたりもしている。
あどけない子供の天使像も可愛らしいが、目につくのはやはり美しく崇高な御姿のもの。気付くと女性的な天使像ばかり集めている。

天使の中で、女性的な天使といえばやはり大天使ガブリエルだろう。

一般に男性もしくは両性具有とされている天使の中で唯一、イエスを身ごもったことを聖母マリアに告げるガブリエルだけが女性ではないかとされている。
当時は、女性の部屋に男性が訪れるのは常識的ではなく、まだ男性を知らないマリアの部屋を訪れるのは女性であると考えた方が自然ということから、この女性説が生まれたようだ。

『受胎告知』のシーンは宗教絵画ではよく描かれるモチーフで、戸惑うマリアと聖告するガブリエルの美しい対比の構図を好まれる人も多いのではないかと思う。

女性説のあるガブリエルだが、絵画では男性的に描かれることの方が多いように思える。

ガブリエルのアトリビュートは百合の花で、これはガブリエルを表すと共にマリアの清廉性を表している。
アトリビュートとは、その人物と関連づけられる小物…持物のことで、持ち主が誰かを特定する手がかりになるものだ。

例えば大天使ミカエルは、「最後の審判」のシーンに描かれることが多いので、剣と魂の公正さを測る天秤がアトリビュートになっている。

同じく大天使のラファエルは、『トビト記』のトビアスと旅をし、トビアスの父トビトの目を癒したことことから、薬壺や旅のスタイル、一緒にいるトビアスがアトリビュートになっているという具合だ。
まぁ厳密にいうと、トビアスは人物なのでアトリビュートの範疇からは外れるかもしれないけれど。

様々なアトリビュートを知っていると、絵画をより深く読み解くことができて面白いと思う。

ガブリエルに話を戻すと、ガブリエルは「告知」「啓示」を司る天使である。
マリアに受胎を告げ、『ダニエル書』ではダニエルが見た幻視の意味を解き明かし、洗礼者ヨハネの誕生も預言している。天界のメッセージを人に伝え、女性性と深く結びついた天使でもある。

『受胎告知』の絵画をいくつか紹介したいと思う。

一番上の絵は、ルカ・ジョルダーノ(1634年-1705年)の『受胎告知』。
もう溜息が出そうに美しいガブリエル。マリアの下にガブリエルが跪いている絵が多い中で、宙に浮いている姿が天使らしい。やっぱり天使はこうじゃなくちゃと思わせる一枚。

下の絵は、レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年-1519年)の『受胎告知』。
ガブリエルが二本の指を立てているが、これは祝福を表している。マリアが読んでいるのは、 旧約聖書の「イザヤ書」。受胎告知の予型となった「おとめが身ごもって男の子を生む」という一節を読んでいるとされる。マリアが聖書を読むのは『受胎告知』のいわばお約束。

レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年-1519年)の『受胎告知』

シモーネ・マルティーニ(1284年頃-1344年)の『受胎告知』。
ガブリエルが携えるのは、百合ではなくオリーブ。シエナ出身のマルティーニはシエナと敵対していたフィレンツェの紋章が百合であったため、百合のかわりにオリーブを描いたとされるが、中央にきちんと百合も描かれていてちょっと微笑ましい。神妙な面持ちのガブリエルと、驚き戸惑っているというより不審そうなマリアの表情が印象的。

シモーネ・マルティーニ(1284年頃-1344年)の『受胎告知』

フラ・アンジェリコ(1395年頃-1455年)の『受胎告知』。
七色の翼が美しい。こうしてみると天使の翼は純白のイメージだが、結構色がついていることが分かる。描かれている場所は、ナザレのマリアの実家と思われるが、画家によって中庭、回廊、部屋と様々に描かれる。

フラ・アンジェリコ(1395年頃-1455年)の『受胎告知』

エル・グレコ(1541年-1614年)の『受胎告知』。
グレコ特有の流れるような筆致で描かれている。ガブリエルの高潔で一種近寄りがたい雰囲気が人ならざるものを思わせる。ガブリエルはマリアの左側にいるものが殆どだが、17世紀近くなり構図が自由になったことが窺える。

エル・グレコ(1541年-1614年)の『受胎告知』

パオロ·デ・マッテイス(1662年-1728年)の『受胎告知』。
顔だけの熾天使(セラフィム)と智天使(ケルビム)がちょっと怖い。

パオロ·デ・マッテイス(1662年-1728年)の『受胎告知』

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ(1490年頃-1576年)の『受胎告知』。
暗いトーンが幻想的な作品。妖艶なマリアは、14、5歳よりずっと年上のよう。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ(1490年頃-1576年)の『受胎告知』。

グイド・レーニ(1575年-1642年)の『受胎告知』。
優しく祝福を告げる女性的なガブリエル。

パオロ·デ・マッテイス(1662年-1728年)の『受胎告知』

同じく、グイド・レーニ(1575年-1642年)の『Angel of the Annunciation 』。
マリアは描かれておらず、慈愛に満ちた薔薇色の頬のガブリエルに焦点をあてた作品。

グイド・レーニ(1575年-1642年)の『Angel of the Annunciation 』。

以上、見ているだけで癒される大天使ガブリエルの御姿でした。




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